前回、テキストファイルでJavaソースを作成してコマンドプロンプトでコンパイル、実行を行いました。ただ、Javaの開発では恐らくほとんどの現場でEclipseを使用していると思いますので、今回はEclipseの取得と初期設定のあたりを行っていきます。
Eclipseとは
EclipseとはIDE(統合開発環境)と呼ばれるもので、これを使うとコーディングからコンパイル、実行まですべてEclipse上で行うことができるようになります。また、コーディング作業ではコードを見やすい形に自動で整形してくれたり、入力の補完やソースの自動生成をしてくれる機能があったりしますので、一度Eclipseに慣れてしまうとテキストファイルでコーディング作業は行えなくなるほど便利に感じるものです。
また、Eclipseの大きな特徴として、プラグインを追加することによっていろいろな機能を好きなように拡張できます。例えば、コーディングを行うエディタにもプラグインとして色々な種類がありますし、バージョン管理のSVNやGitと連携してEclipse上で操作できるようになるプラグインなどはよく使われます。
さらに、プラグインによる機能拡張によって、EclipseはJavaだけでなくCやC++、C#、PHP等々、さまざまな言語の開発プラットフォームとしても利用可能になります。(私は利用したことありませんが)
2018年8月現在、Eclipseの最新バージョンは4.8です。
Eclipseはリリースされるバージョンごとにコードネームが付けられていて、例えば4.8ならPhoton、4.7ならOxygen、4.6ならNeonと呼ばれます。(この辺、詳しくはWikipediaを参照ください)
ちなみに、Eclipse自体がJavaで作られているため起動にはJREが必要です。
Eclipseの入手~起動確認
まずはEclipseを入手します。
今回の手順では、Eclipseのバージョンは4.8(PHOTON)のダウンロードを行います。
- Eclipse Foundationのサイトにアクセスし、画面右上部の「Download」をクリックします。
- 「Download Packages」をクリックします。
- ダウンロードするEclipseのパッケージを選択します。
Eclipseは、予めプラグインが設定されている形で、Java開発用のものやC/C++開発用のものなど、いくつかのパッケージとして提供されています。
今回は64bit版のWindows環境でのJava開発用を選択しますので、「Eclipse IDE for Java Developers」のWindows 64-bitを選択します。
Eclipseを入手する際、初めから日本語化されている上に多くのプラグインが設定済みである「Pleiades All in One」というパッケージを選ぶことがよくあると思いますが、不要なプラグインまで大量に設定済みであるために動作が重くなってしまう欠点がありますので今回は使用しません。日本語化は別途行っていきます。 - 「Download」をクリックするとEclipse(zipファイル)のダウンロードが始まります。
ダウンロードしたzipファイルを解凍し、中身のeclipseフォルダを適当な場所に配置します。
※こちらの例ではDドライブ直下に配置しました。
- eclipseフォルダの中にあるeclipse.exeを実行します。
- ワークスペース(Eclipseでの作業場所)の選択ダイアログが表示されるので、任意の場所を指定します。
また、Eclipse起動のたびにワークスペースの場所を聞かれるのは鬱陶しいので、「Use this as the default and do not ask again」(この設定をデフォルトとして再度確認は行わない)のチェックボックスをONとして「Launch」をクリックします。
※こちらの例ではワークスペースはD:\workspaceとしました。
- Eclipseが起動して、Welcomeタブが表示されます。
ここは好みの問題かもしれませんが、個人的にはWelcomeタブは不要なので「Always show Welcome at start up」(起動時に毎回Welcomeタブを表示する)のチェックボックスをOFFとしてWelcomeタブを閉じます。
- Welcomeタブが閉じられて、Eclipse起動後の初期画面が表示されます。
- ちなみに、JREがインストールされていない場合(もしくはjava.exeへのパスが通っていない場合)、Eclipseを起動しようとすると以下のようなダイアログが表示されて起動に失敗します。
Eclipseの日本語化
ダウンロードしたEclipseが「Pleiades All in One」パッケージではない場合、すべて英語での表示になります。このままでは使いづらいため、日本語化用のプラグインを設定していきます。
- 「Pleiades 日本語化プラグイン」のページを開き、『Pleiadesプラグイン – ダウンロード』にて環境に合わせてプラグインをダウンロードします。
(こちらの例ではWindowsをクリックします)
- ダウンロードしたzipファイルを任意の場所に解凍して中身のsetup.exeを実行します。
「選択」ボタンをクリックして日本語化するeclipse.exeを選択し、「日本語化する」をクリックします。
- 日本語化が完了したことを知らせるダイアログが表示されるので「OK」をクリックします。
- 「終了」をクリックします。
- Eclipseを起動し、メニューや各種文言が日本語表示になっていることを確認します。
Eclipseの初期設定
次に、EclipseでJava開発を行う上での初期設定を行います。
JDKの設定
インストール済みのJDKを使ってコンパイルや実行をするための設定です。
- Eclipseを起動し、上部メニューの「ウィンドウ」⇒「設定」と選択します。
- 左部ツリーから「Java」⇒「インストール済みのJRE」を選択し、右部の「追加」をクリックします。
- 標準VMを選択して「次へ」をクリックします。
- JREホームに、JDKのインストールフォルダを指定します。
(JRE名は任意の名前で問題ありません。「ディレクトリー」ボタンをクリックしてJDKのインストールフォルダを指定した場合は、JRE名がJDKのバージョン名付きで自動設定されます)
- 追加したJDKの設定を選択します。
一応知識としての補足です。
実はEclipseにはEclipse独自のJavaコンパイラであるECJ(Eclipse Compiler for Java)が備わっているため、JDKが無くてもJava開発を行うことができます。
ただ、ECJはあくまでもEclipseオリジナルのコンパイラであるため、JDKのコンパイラとまったく同じコンパイル結果を得られる保証はありません。
また、JDKを使用した場合、デバッグ時にJavaの標準ライブラリに入り込んでステップ実行することができるようになりますし、Javaでの開発時によく利用されるフレームワークの中にはJDKの使用が前提となっているものもあります。
こういった理由から、JDKを使用しておいた方が間違いはありませんので、Eclipseの初期設定としてJDKの設定を行います。
文字コードの設定
Eclipseのデフォルト文字コードはMS932、改行コードはWindows仕様であるCRLFになっています。
このままの状態だと、例えばJavaのクラス名にカーソルを当てたときにクラスの説明が表示されますが、その説明文が文字化けしていたりします。
これを回避するため、Eclipseの文字コードをUTF-8に設定します。また、JavaはLinuxサーバーで動かすことが少なくないため、改行コードもUNIX仕様のLFに変更します。